おいしいチーズのある暮らし

チーズ素人が食べたチーズを紹介するゆる~いブログ

ラングル

フランス、シャンパーニュ地方のラングル高原が原産地のウオッシュタイプチーズ。

 

 

 

中世まで遡る歴史があり、

なんといっても特徴的な、フォンテーヌ(fontaine=泉)と呼ばれる上面の窪みがシンボルで、これは熟成時にチーズを反転する作業を忘れたことによりできたとされています。

この凹みにマール(ブドウの蒸留酒)を注ぐ食べ方が評判となり、

この造り方が定着したようです。

 

アナトー(ベニの木からとる染料)と塩水で洗うため表皮はオレンジ色になり、

熟成が進むにつれウオッシュらしさが強くなっていきます。

 

 

水分を含む目の詰まった組織は舌の上ですっと溶け、ミルクの甘味と熟成した濃厚な味わいがあり、その風味はウニのようともいわれます。

 

 

 

 

 

さて、実際にいただいてみました。

 

やや厚みのある表皮はオレンジ色で、

薬品を思わせるようなウオッシュチーズ特有の香りがします。

 

中身はベイクドチーズケーキを思わせるような色と質感で、

表皮に近い部分はトロリ、内側は少し硬めでしっとりとしています。

 

口に含むと、トロリとなめらかな舌ざわりで、中心はふわっと軽いムースのよう。

 

はじめはナッツのようなコク、

そこから少しピリッとした辛味と、ぬか漬け(乳酸発酵)のような味と香りを強く感じ、後に引きます。

 

 

 

可愛らしい見た目に反して重厚で複雑な味わいなので、好みが分かれるとは思いますが、私たち日本人が昔から慣れ親しんでいる「ぬか漬け」を強く思わせる味なので、

意外と馴染みやすいかもしれませんね。

 

 

 

ブリ ド モー

パリの東からシャンパーニュまでのブリ地方を代表する、

フランスの誇りともいわれる白カビチーズの王様。

 

 

 

古くから評価が高く数多くのエピソードを持ち、

その気品ある味わいは「チーズでできたお菓子」とも称されており、

同じ地域でうまれた「ブリ・ド・ムラン」「クロミエ」と合わせて「ブリ3兄弟」と呼ばれています。

 

上品で繊細ななかに力強さがあり、薫り高く奥行きのある味わいです。

 

また、ブリ・ド・モーといえば白カビチーズの中では破格の大きさも特徴です。

 

 

 

日本では白カビチーズといえば「カマンベール」が圧倒的な人気と知名度ですが、

カマンベールは、ブリ・ド・モーの製法がカマンベール村に伝わってうまれたとされており、ブリ・ド・モーが由緒あるチーズであることがよくわかります。

 

 

 

 

 

さて、実際にいただいてみました。

 

真っ白な粉をかけたような外皮に、淡いクリームイエローの中身は、

なめらかでトロリとしています。

 

フレッシュなミルクのような心地よい香りで、口どけがすばらしく、

ミルクの優しいまるみのある甘みに、ナッティーなコクが追いかけてきます。

最後にピリリとした刺激が加わるため、後味はすっきり。

 

 

 

ミルク感たっぷりの優しいマイルドな味わいで、

お菓子と称されるのも納得の気品あるチーズでした。

 

 

 

 

 

シャウルス

フランス、ブルゴーニュ地方の修道士によって 12 世紀頃に造られたとされる、

歴史ある白カビタイプチーズ。

 

 

 

 

しっかりとしたコクがありながら、軽い酸味とキノコのような香り(フルーツの香りと書いているものも)を持ち、さらりと口溶けがよく後口の切れもよい食べやすいチーズです。

 

 

その名は 14 世紀には既に知られ、19 世紀には農民が脂肪分の多い乳から

「シャウルスのチーズ(Fromage de Chaource)」という名のチーズを造っていたとされ、農家からチーズを買い、主要都市で売る商人がおり、その評判が広がっていったようです。

 

発祥はブルゴーニュ地方ですが、名前の由来はシャンパーニュ地方のシャウルスの街。

この町の紋章である、シャ(=ネコ)とウルス(=クマ)、2 匹の動物がパッケージのラベルに小さくデザインされています。

 

 

 

 

 

いただいたものは、芯が残り身の引き締まった食べごろのもの。

(一般的な白カビチーズは熟成が進み芯がトロリとしたものが食べごろとされるが、シャウルスは若いホクホクとした状態が食べごろとされています。)

 

周りを覆う白カビはビロードのように上品。

バターのように濃厚で芳醇な香りをまとい、

オフホワイトの中身はクリームチーズくらいの硬さで、ややねっとりとした口当たりです。

 

口に含むと、塩味のあとにナッティーなコク、そして濃厚なバターのようなコクが口いっぱいに広がります。

熟成の若い中心付近は軽い酸味が感じられ、濃厚なチーズの印象を和らげてくれています。

 

 

 

 

クセがなくこってりと濃厚で、まるでバターを食べているかのような、

誰からも愛されそうなシンプルに美味しいチーズでした!

 

 

 

カチョ ディ ボスコ

イタリアの羊乳チーズ「ペコリーノ・トスカーノ」に白トリュフを加えた贅沢なチーズ。

※詳細は「ペコリーノ トスカーノ(フレスコ)」を参照ください ↓

ペコリーノ トスカーノ(フレスコ) - おいしいチーズのある暮らし

 

 

いただいたのは、「イル・フォルテ―ト社」製のもの。

白トリュフは、エミリアロマーニャとウンブリアの州境で収穫されるものを使用しており、4カ月以上熟成させた独特のコクと甘みを持つ生地に、深いトリュフの香りが広がります。

 

 

 

私がいただいたものは、アミノ酸結晶が見られ、硬くボロボロと崩れる、しっかりと熟成されたものでした。

 

クセが強くとても濃厚なペコリーノに、トリュフの強烈な香りがぶわっと広がる贅沢な味わい。

それでいて、酸味と独特な苦みも感じられ、きりっとシャープな印象です。

 

 

当然ながらお値段は張りますが、ほんのひとかけらでも満足感の高いチーズ(むしろ、濃厚すぎてそんなにたくさん食べれません!笑)なので、

特別な日に食卓を華やかにしてくれること間違いなしです(^^)

ボーフォール

上品なコクと芳醇な香ばしさを持ち、美食家ブリア・サヴァランが「チーズのプリンス」と絶賛したとされている、フランスが誇るハードタイプチーズ(加熱圧搾)。

 

 

 

1 年の半分を雪に閉ざされるサヴォワ地方の山岳地帯では、雪解けを迎える 6 ~10 月、アルプスの高原に牛を放牧します。

この夏の期間に造られたものが「Ete(エテ)」と呼ばれます。

また、同期間に標高 1500 m以上の高地で単一牛の群れから 1 日に 2 回搾乳し、山のチーズ小屋(シャレ Chalet )で伝統的な製法で造られたものは「 Chalet d'Alpage (シャレ・ダルパージュ)」と表記できます。

 

色鮮やかな高山植物を食んだ牛の夏のミルクは栄養価が高く味わいも格別とされます。

 

 

 

ほっくりとした栗を思わせる食感で、その味わいは「青草、花、フルーツ、ナッツ」などと表現されています。

 

 

 

 

 

 

さて、今回いただいたのは、夏に造られた「エテ」。

 

側面が内側に湾曲した独特のフォルムをしており、

淡い黄色で艶やかな生地はしっかりとした硬さがあり、もろく砕けるほくほくとした食感です。

 

ヨーグルトのような酸味を帯びたさわやかな香りで、

口に含んだ瞬間にぶわっと濃厚で華やかな強い旨みが広がり、

その中にスパイシーなややピリッとした辛味も感じられ、味を引き締めています。

 

 

パッとストレートに味が広がる華やかな印象で、

まったくお酒の飲めない私でも「ワインと合いそう!」と思わされるチーズでした!

 

トム ド シェーブル

フランスの大型タイプ(重量 1 ㎏程度)の羊乳を使用したハードタイプチーズ。

 

 

 

小型のものが多いシェーブルチーズには珍しい大型のもので、「トム」とはポーション(ひとかたまり)の意味です。

 

 

 

 

 

今回いただいたのは、スペインとの国境近く、バスク地方ピレネー山脈の麓にある小さな村 Macaye にある「 Onetik 」社製のもの。

 

繊細で穏やかな風味の中に力強さを持ち合わせた豊かで奥深い味わいが魅力で、

伝統的な自然熟成によって造られています。

 

 

 

やや厚みがあり線状の模様のある外皮に、白く適度に柔らかさのある中身は、かすかにミルクの香りがします。

口に含むと少しねっとりとした濃厚な食べ口で、ミルクのまろやかな旨みの中にナッツのようなコクがあります。

 

食感も味もマイルドかつ濃厚で穏やかですが、塩味がかなり強く、口に入れた瞬間から余韻まで塩気を強く感じます。

自然熟成で造られているので、必然的に塩分濃度が高くなってしまうのかもしれません。

 

 

季節のジャムと合わせて食べると、塩味がマイルドになりとても美味しいと思います(^^)

 

 

 

保存食品としてのチーズの本来の姿を感じさせてくれる、素朴なチーズでした!

ペコリーノ トスカーノ(フレスコ)

イタリアのトスカーナ地方で紀元前 3000 年ごろから造られている、

歴史ある羊乳のハードタイプチーズ( DOP )。

 

 

 

ペコリーノ・トスカーノの製造は 3 月から春のあいだ行われていたので、 15 世紀には「カチョ・マルツォリーノ」( 3 月のチーズ)とも呼ばれていました。

 

 

羊乳で造られるチーズは総称して「ペコリーノ」と呼ばれています。

羊乳は牛乳よりも脂肪分が多く、中でもペコリーノ・トスカーノは脱脂せず全乳のままチーズにするので、しっかりとしたコクと羊乳の旨みを感じられます。

 

また、凝固に仔牛のレンネットを使用していることや、加塩の度合いが少ないことにより、他のペコリーノとは違った風味と個性があります。

 

 

熟成段階により呼び方が変わり、

  • 「フレスコ」 熟成 30 日前後。柔らかく弾力があり羊乳の甘味たっぷり。
  • 「スタジオナート」 熟成 3 ヶ月程度。キノコのような特有の香りとコク。
  • 「オーロ・アンティコ」 熟成 6 ヶ月以上。羊乳のコクや風味が強い。

と呼ばれています。

 

 

 

 

今回いただいたのは熟成 30 日のフレッシュな「フレスコ」。

 

くせのないまろやかな香りで、透明感のある薄い黄色の生地は、しなやかでいて柔らかく弾力があります。

 

ふわっとミルクの甘味や、草っぽい苦味を感じ、口の中に旨みの余韻を残します。

 

熟成が若いため、やや淡白でクセのないさっぱりとした旨みがあり、とてもやさしい印象をうけました。

 

穏やかな風味なので、ジャムと合わせてもとても美味しかったです!

 

 

現地では生のそら豆と合わせて食べられるそうですが、

なるほど、豆のコクと青臭さがとても相性がよさそうだなと思いました。

 

 

 

羊乳本来の味が楽しめるので、羊乳チーズに初めてチャレンジされる方にもおすすめのチーズです(^^)