ラングル
フランス、シャンパーニュ地方のラングル高原が原産地のウオッシュタイプチーズ。
中世まで遡る歴史があり、
なんといっても特徴的な、フォンテーヌ(fontaine=泉)と呼ばれる上面の窪みがシンボルで、これは熟成時にチーズを反転する作業を忘れたことによりできたとされています。
この凹みにマール(ブドウの蒸留酒)を注ぐ食べ方が評判となり、
この造り方が定着したようです。
アナトー(ベニの木からとる染料)と塩水で洗うため表皮はオレンジ色になり、
熟成が進むにつれウオッシュらしさが強くなっていきます。
水分を含む目の詰まった組織は舌の上ですっと溶け、ミルクの甘味と熟成した濃厚な味わいがあり、その風味はウニのようともいわれます。
さて、実際にいただいてみました。
やや厚みのある表皮はオレンジ色で、
薬品を思わせるようなウオッシュチーズ特有の香りがします。
中身はベイクドチーズケーキを思わせるような色と質感で、
表皮に近い部分はトロリ、内側は少し硬めでしっとりとしています。
口に含むと、トロリとなめらかな舌ざわりで、中心はふわっと軽いムースのよう。
はじめはナッツのようなコク、
そこから少しピリッとした辛味と、ぬか漬け(乳酸発酵)のような味と香りを強く感じ、後に引きます。
可愛らしい見た目に反して重厚で複雑な味わいなので、好みが分かれるとは思いますが、私たち日本人が昔から慣れ親しんでいる「ぬか漬け」を強く思わせる味なので、
意外と馴染みやすいかもしれませんね。